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物が物でなくなるとき
頻繁に使う自作の鉢がある。

独立した頃制作したもので
彼此9年は経っていることになる。

最近
その器を手にとってじっくり眺めていると
出来上がった当時の印象とは
まるで違うものを感じ
別の器のように見えました。

素地が見える部分は程よいツヤが現れ、
釉薬もしっとりと柔らかい風合いになり、
貫入も、そんな釉に淡く溶け込むようにゆったりと入っていました。

制作している時は
食卓で何年も使われていることを
イメージして素地や釉薬を吟味していますが、

実際手元にある器が時を経て
当初とは全く違う表情を見せ始めると
言葉にし難い喜びを感じます。

器に人格があるかのように感じられ、
食器棚に戻す時には
心の中でまた次に使うことを約束して
そっと元の場所におさめました。


           森脇製陶所 森脇靖

| 森脇靖日記 | 22:32 |